三戸政和氏の「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」を読んでみました。
帯に堀江貴文氏の「終身雇用は現代の奴隷制度」と過激なコピー(でも真実ですが)が書いてあったので思わず手に取ってしまいました。
著者の三戸政和氏は、1978年生まれ、事業承継や事業再生に特化した投資ファンド(株)日本創生投資の代表取締役をしています。序章の冒頭に「本書は会社を買うことをおすすめする本」とあります。
経済的に豊かになるには「あちら側の人間」になる必要がある。
あちら側とは「資本家」のことです。この本では、経済的に豊かになるにはサラリーマンでは限界があり、資本家になる必要があると説いています。そして、資本家になる方法のひとつとして、サラリーマンをしている間に「会社を買う」ことを薦めています。
そして、会社を買って社長になることで、次の3っが同時に実現できるとのことです。
①自分のキャリア(会社での管理職の経験など)を生かせる。
②資本家になることで、労働の対価では得られない金銭的メリットを享受する。
③人生100年時代の老後不安から自由になる。
実績ある中小企業を個人買収せよ
ビジネスの0から1をつくる「起業」は非常に大変でギャンブル的な要素があり普通の人(サラリーマン)が取り組んでも失敗する確率が非常に高いとのこと。(新たに起業する会社のうち大きく成功するのは0.3パーセント)。特に、飲食店経営はレッドオーシャン(競争の激しい既存の市場)なので手を出すと「地獄」を見るという理由でお勧めしていません。
筆者が勧める方法は、既に実績のある中小企業を個人で買ってオーナーになることです。
具体的なスキームは、後継者探しに苦労している中小の会社を見つけ、サラリーマンのうちにその会社の役員にしてもらい、社長の息のかかっているうちに社内の改革を進め、社員の信頼を築きながら企業価値を高め、最終的にこの会社を買ってオーナー社長になることです。そして、年を取ったら売却することもアリです。
著者の会社は、このような事業承継に熱意をもって取り組むサラリーマンを応援する事業を行なっているそうで、事業承継する側とされる側そしてファンドの三者がウィンウィンの関係になること望んでいるとのことです。
感想
人材、仕事、不動産などのマッチングサイトがあるのは知っていましたが、事業そのものをマッチングさせるサイト(著者の事業サイト)があることを今回初めて知りました。
会社の売買を通じて、後継者不足に悩んでいる中小企業の経営者(事業継承問題)と、今の会社人生に満足していないサラリーマンとをマッチングさせることは、両者の悩みや問題を同時に解決するなかなか良い取り組みだと感心しました。
サラリーマンから見れば、既に実績のある会社の買収であるため0からの起業に比べればリスクも低く、管理職をしていた人にとってはその能力を活かせるという点で、今後の生き方に一つの選択肢と希望を与えてくれます。
著者の薦める生き方は、ロバートキヨサキ氏の「金持ち父さん、貧乏父さん」にでてくるキャッシュフロークワドラント(E,S,B,I)の世界でいうと、右側のBの世界を目指せってことのようですね。
「勤めている会社や仕事が嫌になった」「老後が不安だ」そして「今より経済的に豊かになりたい」と思っているサラリーマンの皆さんには、ぜひ一読することをお勧めします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門(講談社+α新書)
目次
序 章 「人生100年時代」は資本家になりなさい
第1章 だから、起業はやめておきなさい
第2章 飲食店経営に手を出したら「地獄」が待っている
第3章 中小企業を個人買収せよ
第4章 100万の中小企業が後継社長を探している!
第5章 「大廃業時代」はサラリーマンの大チャンス
著者 三戸 政和
2018年4月20日発売
発行 講談社
シリーズ 講談社+α新書
ページ数 208ページ
価格 840円+税