小説『億男』を読みました。
2018年には映画にもなりました。
”『億男』(おくおとこ)は、映画プロデューサーで小説家の川村元気による長編小説。雑誌『BRUTUS』(マガジンハウス)での連載を経て、2014年10月15日にマガジンハウスより刊行された。2015年(第12回)本屋大賞第10位入賞作。2018年には56万部を突破し、小野大輔主演・ナレーションによる「オーディオブック付き スペシャル・エディション」が限定発売された。 2018年に映画が制作、公開された。”
(Wiki:「億男」より )
amazon:億男 (文春文庫)
宝くじで3億円が当たった主人公が「お金と幸せの答え」を探して旅をするお話し。
行方不明になった弟の三千万円の借金を肩代わりをしたことがきっかけで、妻と娘と別居生活が続いている主人公の一男。借金返済のため、図書館司書とパン工場の夜勤を掛け持ちしていた。
収入は月額四十万円ほどだが、妻と娘と自分の生活費以外を全て返済に回したととしても、完済は三十年以上先になる。
仕事の合間を縫って、借金から抜け出すための本を読み漁る日々が続いていた。
ある日、一男は、偶然にも宝くじで3億円が当たってしまった。
興奮した一男は心を落ち着かせるために、ネットで「宝くじ」「当せん者」と検索すると、 家庭崩壊、詐欺、失踪、死亡・・・大金を手にした人の悲劇ばかりが目につく。
不安に駆られた一男は、お金と幸せについて教えてもらうため、3億円の現金を旅行カバンにつめ、大富豪となった友人、九十九のもとを訪ねた。
その夜は、九十九の住むタワービルの高層階で美女を迎えて酒池肉林のパーティが繰り広げられた。一男は酔いつぶれてしまった。
翌朝目が覚めると、九十九と3億円の札束が入ったカバンが忽然と姿を消した。
一男はその3億円と九十九の行方を捜すため、九十九の元の会社の同僚たちを探し歩く。現在、彼らはそれぞれが違った道を歩み、いろいろな考えをもって生きていた。彼らに会って語り合ううちに、それぞれの「お金と幸せの」考えがみえてくる。
金、愛、賭、罪・・・
一男は、彼らと会ってどんな気づきを得たのか?
一男の妻、万左子が出した答えは?
九十九と共に消えた3億円の行方は?
一男の未来は?
気になりますね。
チャップリンと芝浜
本書には、チャップリン、福沢諭吉、ゴーリキー、ショーペンハウワー等の先人が残した「金言」がちりばめられいます。
そして 、九十九が大学の落語研究会に居たときの十八番だった古典落語の「芝浜」にも、お金と幸せの答えのヒントが隠されていることがわかります。
自分にとってのお金と幸せの答えはなんだろうか?
私にも、お金や我ままと引き換えに、失ったものや得られていない何かがあるような気がします・・・・
猫を抱いて眠る
余談ですが・・・
主人公の一男は一匹の猫を飼っていました。名前は「マークザッカーバーグ」。読んでいたら唐突にでてきたので思わず吹き出してしまいました。
そしてお金と幸せの答えが見つからず途方に暮れたときに一男が気づいたこと、それは「絶望したときに人間ができることは、猫を抱いて眠ることぐらいしかないということ」
この描写にとても共感しました。
だって、私もFXで大金を溶かしたときは、まさにこんな状況でしたから(笑)
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