はじめに
私はいまの会社では、管理職のひとつ手前のポジションにとどまり、一匹狼、変人ぶりを発揮しています。
この会社では今以上の昇進(出世)は望んでいません。
そもそも、病気(心筋梗塞)にもなってしまったので、もう昇進の声はかからないと思いますが。(病気になってある意味ラッキーかもしれません)
周囲には私のことを「無能」だと思っている人もいるかもしれませんが(笑)
それでも、自分自身では今のポジション的にそこそこ満足しています。
ナゼ満足しているのでしょうか?
それは、私が「創造的無能」で生きることを選んだからです。
ピーターの法則を知ると、「創造的無能」とは何か、私がなぜ「創造的無能」に拘るかかが分かってもらえると思います。
出世レースに苦しんでいる方や、心身ともに疲弊している方は、一度この本を読んで自分の生き方を振り返ってみてはいかがでしょうか。きっと「出世」に対する考え方と行動が変わると思います。
著者は1919年、カナダ生まれの教育学のローレンス・J・ピーター博士
長年にわたって「無能」の研究に打ち込んだ「階層社会学」の提唱者
ピーターの法則とは
ピーターの法則とは、「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおの無能レベルに達する」という法則です。
この本で「無能」とは「ポストの職責を理解しておらず、その義務を果たしていない状態」をいいます。つまり、職責が能力を越えている状態です。
「階層社会」とは身分や等級に従って構成員や従業員の配置が決まる組織をいいます。
例えば、ビジネス界、労働組合、政界、官公庁、軍隊、教育界などなど
ピーターの法則によると、「あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められ、仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行われる」ことになります。
そしてついには、あらゆるポストが無能な人間によって占められるようになるということです。
昇進して「無能」になる仕組み
ピーターの法則では、昇進して「無能」になる仕組みを次のように説明しています。
階層社会では上司から見て有能な人間は昇進の対象になる。
この場合「有能」とは上司に「服従する」ことに他ならない。
服従する人は常に組織のルールや上司の指示に従うだけで決断はしない。
すると彼らは、決断が必要となる上位ポストに昇進すると「無能」になる。
そして無能になるまで昇進する。
つまりあらゆるポストは無能な人間によって占められる。
昇進すると無能になるのは、働き者が怠け者になるわけではない。
それは、有益なことが何も行われていないということ。
有益な仕事ができないと気づくと滅入って体調を壊す。(終点到達症候群)
背負った責任の大きさのために、患者が身体的な無能状態に達したことを示す。
具体的には次の病気を上げています。
消化性潰瘍、高血圧、便秘、下痢、過食と肥満、アルコール依存、アレルギー症、不眠症、慢性疲労、不整脈、心循環器系疾患、偏頭痛、めまい、などなど。
自分が無能レベルに達したことに気づいた人は、「無能=怠惰」と思い、罪悪感にかられてしまう。
そして、もっと働けば、有能になれると思い込み、さらに頑張ってしまう。。。
無能(終点)に到達した場合の対処法 ~ 無敵の処世術 ~
ここまで読むと、会社人生お先真っ暗と思ってしまいますが、安心してください。
著者はこれを回避するための秘策を授けてくれます。
ここからがこの本のポイントであり、私が皆さんにお勧めしたい部分です。
その一つは、
①昇進拒否(ピーターの受け流し)
「昇進を断って、自分が有能にこなせる仕事を楽しくやる」
しかし、この成功は稀
なぜなら、昇進しないことは、組織、家族や世間的にも「無能」とみなす傾向があるから。昇進を断ることは、家族からよく思われないし、組織や家族からのプレッシャーも大きく、耐えられず安心もできない。(ただし、昇進がいかに悲惨な結末を招きかねないかはすでに知るところ)
②創造的無能のススメ
昇進拒否ではなく、
自分がすでに無能レベルに達しているという印象をまわりの人に植えつけることで、最終到達者に現れる症状(病気以外)を1つか2つ外に向けて示すこと。
これが秘密兵器「創造的無能」です。
(著者は「創造的無能」を「無敵の処世術」といっています。)
たたし、職務遂行に重大な支障をきたさない程度の無能を選ぶこと。
例えば、「変人ぶりを発揮する」「一匹狼になる」「外見を演出する(ボロ着、無精髭、長髪・・・)」など。
創造的無能であるための重要ポイント
創造的無能を装うために絶対に守るべき掟があります。
それは「あなたが昇進を回避したいと思っていることを、絶対にまわりに悟られてはいけません!」
ということです。
この掟を守り、無敵の処世術である「創造的無能」を楽しみましょう。
そもそも昇進のきっかけは何?
ここからが私の考えと生き方になります。
昇進の欲求やきっかけは、いつどこからくるのでしょうか?
人それぞれの思いや境遇によって様々かと思いますが、その中でも、承認欲求や給料UPを目指して昇進したい思う人は多いかと思います。
私も、もともと昇進の欲求はないのですが、さすがに入社したての若い頃は給料アップしたくて、仕方なく昇進を考えたことがあります。
ただその頃から、すでに昇進して課長や部長になっていく先輩たちをみると、毎日毎日仕事に追われ、休日も家や会社で仕事、出張も多く、上層部との付き合いや部下の管理も大変そうにみえました。
私がその立場になったら、絶対に気力も体力も持ちそうもなく100%病気になると感じました。
(今の私を見ている人から、そういう人は出世できないから大丈夫とツッコミをいれられそうですが・・・)
若い頃は、この昇進の問題と収入アップの欲求は、よく葛藤してました。
昇進せずに収入アップする方法はないか?
その後考えるようになったのは、「昇進せずに収入アップする方法はないか?」ということです。
ほぼ毎日考えてました。
その結論が、「管理職になる一歩手前のポジションまで出世し、給料をそこそこ上げたところでキープし、そこからは株式投資や事業(不動産賃貸業)を拡大することで収入を増やしていく」という戦略です。30代中盤のことでした。
すでに「創造的無能」の考え方で生きていた
そのころから会社では、ピーターの法則で示している「創造的無能」(当時はこの言葉を知りませんでしたが、今振り返ると同じ考えだったということです。)で仕事をこなしていたことになります。
一方、空いた時間は、株式投資と不動産賃貸業に注力してきました。
株式投資と不動産賃貸業については、その後のリーマンショック、東日本大震災、コロナショックを乗り越え、株式の配当や事業による収入は増えていき、いまでは給料とほぼ同程度の収入、キャッシュフローだと給与収入の4割ほどになりました。
さらに現金や金融資産を売却しれこれで借入金を返済すれば、キャッシュフローはさらに増え、株の配当と事業によるキャッシュフローは給与収入の8割程度になります。
金持ち父さん貧乏父さんにででてくる「裕福度(支出/資産からのキャッシュフロー×100)」でいうと、私の裕福度は、100%近いところまできているということです。
(裕福度100%を越えると、給与所得がなくても暮らしていける状態)
昇進と収入アップは必要十分条件ではない
以上からわかることは、
「昇進⇒収入UP」は大概成り立つが、「収入UP⇒昇進」は必ずしも成り立ちません。
逆は真ならずです。
現在平社員の(ある人からみたら”働いてないようにみえる窓際おじさん”と思われている)私の収入は、上司である(投資や事業をしていない)課長や部長よりも、額面では多いと思います。