「チーズはどこへ消えた?」(英題:Who Moved My Cheese?)
アメリカの心理学者、スペンサー・ジョンソンの書いた自己啓発書です。1998年に出版され世界中でベストセラーになった本です。社会の普遍の原理を説いている内容のため哲学書といってもいいでしょう。ただ哲学というと、とっつき難い印象がありますが、この本はちょっと違います。登場するキャラクターが「ネズミ」と「小人」なのです。寓話のようなストーリー仕立てになっており、楽しみながら人生哲学を理解することができます。
100ページ足らずと短く読みやすいです。
チーズって何のこと?
「チーズ」とは、私たちが人生の中で求める「もの」のことです。
仕事、家族、恋人、お金、家、自由、健康、承認、心の平安などの象徴のことを指しています。
人はみな自分にとっての「チーズ」を心に描いており、これが手に入れば幸せを感じ、なくしたり奪われたりすれば大きなショックをうけます。
人生には永遠の安定などはなく、どこかで必ず変化(チーズの変化・消失)が訪れます。その変化に対する考え方と対応のしかたがその後の人生を決めるのです。
こんな人にお薦め
・今の生活が安定していると思っている人。
・今の人生が順風満帆だと感じている人。
特にサラリーマンの方は読んでおいて損はないと思います。
私の経験
サラリーマンの私にとっては、10年前のリストラは大きな変化でした。それまで当然と思われていた「雇用」や「給料」が大きく動きました。さらにその数年後、会社はより大きな企業に買収され、子会社になりました。これまでの経営陣や組織もガラッと変わり、さらにシステムや価値観も親会社の方針に沿ってどんどん切り替わっていきました。
自分の会社は、世界規模で競争の激しい「レッドオーシャン」で勝負しています。会社が生き残っていくには常に技術革新という変化が必要です。それに伴って、社員の知識やスキルにも常に向上を求められます。
まさにこの本に書いてあるように、「変化にすばやく対応」しなければ、会社も社員も生き残れない状況です。
ただ、私としては、今の会社に適応することだけに甘んじていてはいけないと思っています。いつまたリストラや転勤などがあるかわかりません。サラリーマンの世界も一寸先は闇です。
私は「新しいチーズ」を求めて自分を変え楽しみながら行動することを続けます。
経済的自由を手にして雇われない自由な生き方をするために。
物語の概要
この物語には、二匹のネズミ(スニッフとスカリー)と二人の小人(ヘムよホー)が登場します。彼らは自分達の特別な「チーズ」を見つけようと毎日迷路の中を探し続けていました。すると、あるとき迷路のある場所(チーズ・ステーションC)で自分達の好みのチーズを偶然見つけることができました。それ以降、毎日毎日そこに通ってはチーズに舌鼓を打ちました。二匹のネズミは、本能に従って黙々と食べるだけだでした。一方、二人の小人は、チーズがあるのは当然と思い、これだけのチーズがあれば一生安泰、さらにそのチーズは自分達のものと考えるようになり、慢心しきっていました。
そんな幸せな日々が続いていたある朝、いつものようにチーズステーションCに行ってみると、そこにあったはずのチーズが忽然と消えていました。
これに対し、ネズミは本能的に状況を察し、次のチーズを探しに出かけました。一方、小人は慌てふためきます。見かけ以外は人間そっくりな彼らは、チーズが消えたことに納得ができず、毎日消えた場所に行っては状況を分析し、チーズが消えた理由や、どこに移動したのかを頭の中で解決しようとしていました。でも状況は好転しません。
いつまでたっても埒が明かないと考えた小人(ホー)、彼はようやく変化を受け入れ、自分が変わることを決断しました。そして先陣を切って、新たなチーズを探す旅への一歩目を進み出しました。
新たなたびへと出た、小人(ホー)は、その状況や自分の感情から、いろいろなことを感じ取り学び成長していきます。一方相棒の小人(ヘム)は、なかなか変化に対応できません。
はたして四人(二匹と二人)は、新しいチーズを手に入れることが出来たのでしょうか・・・
この本から学んだこと。
・変化が起きるのは自然なことだ。
・小さな変化に気づき、やがて訪れる大きな変化に備えること。
・変化が起きたら、物事を簡潔に捉え、柔軟な態度で、すばやく動いて対応すること。
・自分が変わらなければ好転しない。
・人は考えが変わると行動が変わる。変化を楽しもう。
・新天地を楽しもう。
一言でいうと「必ず起きる状況の変化にすばやく適応せよ」ということでしょうか。
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チーズはどこへ消えた?
著者 スペンサー・ジョンソン( 門田美鈴 訳)
発売 2000年11月30日
発行 扶桑社
ページ数 96ページ
価格 838円+税