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【感想・ネタバレ】ピケティ氏の『21世紀の資本』が難しそうだったので解説書を読んでみた。そこからみえてきた、サラリーマンがより経済的に豊かになる方法とは?

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「【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!」(髙橋洋一著)

数年前にフランスの経済学者トマ・ピケティ氏の本『21世紀の資本』が話題になりましたが、書店で日本語版の実物をみたら分厚くて難しそうだったので購入を躊躇し、代わりに近くにあった解説書「【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!」(髙橋洋一著)を読んでみました。

髙橋氏によると、ピケティ氏は、過去の膨大な経済データから、
どの時代も「資本収益率(r)」が労働所得の伸び率の指標である「GDP成長率(g)」を上回っているという事実を明らかにし、その結果、資産を持つものはより豊かに、持たざるものはより貧しくなり、将来にわたってこの格差はどんどん拡がっていくだろうといっているそうです。

ピケティ氏の示すデータが真実なら、サラリーマンがより経済的に豊かになるには、給料でどんどん収益資産を買っていけばよいということになると思うのですが・・・

皆さんはどう思われますか。

ピケティが『21世紀の資本』で言いたかったこと。

解説書の内容をまとめると、次のようになります。

・過去のどの時代も、資本収益率rはGDP成長率gより高かった。(g<r)

・これは、データが示す歴史的事実だ。

・だから、その傾向はきっとこれからも続くだろう。

・なので、放っておけば格差は拡大しつづけるだろう。

・格差縮小の鍵は、累進性の強い税率を導入することだ。

・そして、国際協調によって、全ての国で課税強化策を採用するべきだ。

これを髙橋氏の解説本の内容に沿ってもう少し詳しく読み解いてみようと思います。

「資本収益率rがつねにGDP成長率gより高い」とはどういうことか

それは、データが示す歴史的事実として、次のグラフから見えてきます。

下図10-9「世界的な資本収益率と経済成長率の比較 古代から2100年」に世界規模で見た資本収益率r(税引き前)と成長率gの古代ゼロ年からの推計と2100年までの予測が示されています。

グラフの点は、
黒い塗りつぶしが、資本収益率r(税引き前)の推移
白抜きが、成長率gの推移


図10-9「世界的な資本収益率と経済成長率の比較 古代から2100年」

世界規模で見た資本収益率r(税引き前)と成長率gの古代ゼロ年からの推計と2100年までの予測を示している。(http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/pdf/F10.9.pdf)

このグラフをみると明らかなように、資本収益率r(黒い塗りつぶしの点)は、つねにGDP成長率g(白抜きの点 )より高く(g<r)となっています。これが歴史的事実ということです。

不等式「GDP成長率g < 資本収益率r」の意味

「資本収益率r」とは、資本(資産)から得た所得の比率、つまり、所有している資本(資産;不動産や企業の設備などの実物資産)から、どれだけの所得(賃料、配当、利子など)を得たかということです。

一方、「GDP成長率g」とは所得成長率のこと。つまり、全国民の所得が前年からどれくらい増えているかということです。

ここで注意したいのは、GDP成長率は、所得成長率と同じなので、「資本から得た所得」も「労働から得た所得」も含まれるるのですが、割合としては、労働所得が7割、資本所得が3割くらいなので、GDP成長率は、労働所得の伸び率と大差ないと見ていとしています。つまり、gは「労働所得の伸び率」を表す指標として使われているということです。

一方、資本収益率はrは、「資本所得の伸び率」を表す指標として使われています。(資本は民間資本と公的資本の2つがあるが、民間資本の占める割合の方が圧倒的に大ため、資本所得は民間資本の所得だと思ってよい)

本来なら、GDPを資本所得と労働所得とに分けて、それぞれの伸び率を比較するのが一番わかりやすいが、そんなデータは取れないので、gを労働所得の伸び率、資本収益率rを資本所得の伸び率とみなしている。

g<rを言い換えれば、

「労働による所得の伸び率g」 < 「資本による所得の伸び率r」

となり、労働による所得の伸び率よりも、資本などによるいわゆる不労所得の伸び率の方が大きいということを示しています。

※ピケティは「資産」と「資本」をほぼ同じ意味で使っていて、所有する不動産も金融資産も全て資本になるといっています。誰かの金融資産は、他の誰かの実物資産になっている場合があるので、それらを足すと二重計算になるため、資本をカウントするときは、基本的には実物資産だけをカウントします。

なぜ、g<rが格差拡大なのか?

資本収益率rは、資本家(一部のトップ層)のものです。
したがって、資本収益率rのほうがGDP成長率gより大きくなるほど、トップ層はより豊かになり、ボトム層はより貧しくなるという図式になります。

これが、「格差が拡大する」ということなのです。

(ん?この話、どこかで聞いたことあるな・・・と思った人もいると思います。そうです、これはロバートキヨサキ氏が著書「金持ち父さん、貧乏父さん」で言っていた、「金持はますます金持ちになる」を歴史的事実として示したものといえそうです。)

格差の状況が垣間見える、g<rの補強証拠として、ピケティが着目した3つのこと

①資本/所得率・・・国民総所得に対する資本の比率
国民が1年間に得る所得の何年分に換算できる資本が存在しているかを示す。(図4ー4、4-8、5-8)


図5ー8「世界の資本/所得比率 1870-2100年」
世界の資本/所得比率の1870年からの推移と、2100年までの予測が示されている。(http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/pdf/F5.8.pdf

世界の「資本/所得比率(β)」は、「国民所得に占める貯蓄率(s)」/「GDP成長率(g)」(β=s/g)で求められます。GDP成長率gが低ければ、資本が蓄えられていく、すなわち格差が広がる可能性がでてくるということです。このグラフをみるとわかるように1870年~2010年の世界の資本/所得比率の推移は、20世紀全範に下落し20世紀後半に上昇する「U字曲線」となっています。
(ちなみに、日本の資本/所得比率は、1910年~1930年の600~700パーセントを頂点として減少しはじめ、1950年代~1960年代には200~300パーセントまで落ち、1990年から2000年代に再び600~700パーセントに復活しているそうで、図5-8のグラフの傾向に似た「U字曲線」になっているそうです。)

②所得格差・・・トップ1パーセントの所得比率
全国民が得ている所得のうち何パーセントを、トップ1パーセントの高所得者が占めているか。(図9ー2、9ー3、9ー4、9ー9)

図9ー2「アングロサクソン諸国における所得格差 1910-2010年」
アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア各国の国民所得におけるトップ1%の国民所得の所得の比率。(http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/pdf/F9.2.pdf


図9ー3「大陸ヨーロッパと日本での所得格差 1910-2010年」
フランス、スウェーデン、ドイツ、日本の国民所得におけるトップ1%の国民所得の所得の比率が示されている。(http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/pdf/F9.3.pdf

図9ー2、図9ー3をみると、アングロサクソン諸国では、1980年と、2010年を比べると、トップ1%の所得比率はかなりの勢いで上昇していますが、非アングロサクソン諸国では、比較的所得格差は見られません。ピケティは、この所得格差は、1980年以降、それまでの水準からすれば、桁違いの超高給をとる企業トップ(スーパー経営者)などが現れたためといっています。

③資本格差・・・ トップ1パーセントおよびトップ10パーセントの資本比率。
全国民が持っている資本の何パーセントをトップ1パーセントおよびトップ10パーセントの資産家が占めているか。(図10ー6)

図10-6「ヨーロッパと米国における富の格差の比較 1810-2010年」
ヨーロッパとアメリカの国富に占める、トップ1%とトップ10%の国民の富の比率が示されている。(http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/pdf/F10.6.pdf

ここでいう「富」とは「資本」のこと。(所得とは区別) 1970年以降、徐々に上昇していることから、欧米では、所得だけでなく資本においても格差は広がりつつあることを示している。

3つの補強証拠をみてピケティが思ったこと。

①資本/所得率、②所得格差、③資本格差は、どれも、戦後期に底を持つ「U字曲線」を示しています。これは戦後期に資産家の財力が削がれたものの、その後は復活していることを示しています。これらのデータと、歴史上常に存在してきた「g<r」の不等式は、なんら矛盾しません。だから、「g<r」は、資本主義社会(特に、所得格差や累進税率の急降下示しているようにアングロ・サクソン型の資本主義社会)の性向なのだとピケティは結論づけました。

ピケティの思い、
格差を是正する「最善の解決策」とは?

格差是正の解決策も歴史的事実に答えを求めます。下図10-10「世界的な税引き後資本収益率と経済成長率 古代から2100年」をみると1913年~1350年に資本収益率rが1パーセント強、成長率gが2パーセント弱という逆転現象(g>r)が起こっていることがわかります。これは、資産家の財力が削がれて格差が縮小した戦後期の欧米では、累進性の強い課税制度がとられていたためです。

図10-10「世界的な税引き後資本収益率と経済成長率 古代から2100年」
世界規模で見た資本収益率r(税引き後)と成長率gの、古代ゼロ年からの推計と2100年までの予測が示されている。(図10-9の「税引き後」バージョン)(http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/Piketty2014FiguresTablesLinks.pdf

このデータから、ピケティは、「累進性の強い税率」こそが格差縮小の鍵であると考え、そのために、「国際協調のもと、全ての国で課税強化策を採用するべき」だといっている。

このあたり、より多く稼ぐ者と、より多く資産を持つ(相続する)者から、より多くの税をとり、社会に再分配すべきだという、ピケティーの理想論が現れているのではないでしょうか。

これについては賛否両論あるかとおもいますが、人々がそれぞれどのように考え、どのような社会を作りたいかという問題でもあり、永遠のテーマかも知れません。

おわりに

ここまで、「【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!」(髙橋洋一著)を通じてピケティが言いたかったことをざっとまとめてみました。

最初にも言いましたが、私はこの本を読んで「ピケティ氏の示すデータが真実なら、サラリーマンがより経済的に豊かになるには、給料でどんどん収益資産を買っていけばよい」ということが頭に浮かびました。

皆さんもぜひこの解説本を読んでみてください。働いても働いても経済的に楽にならないと嘆いているサラリーマンであれば、何かを感じるはずです。

そして、興味ある方はぜひ、ピケティ氏の『21世紀の資本』の日本語版を買って読んでみてはいかがでしょうか。700ページ以上ありますが・・・

私は、しばらく髙橋氏の解説本までにしておこうと思います。

※ピケティ氏の『21世紀の資本』に載っている図やグラフは、以下のサイトで閲覧することができます。(この記事に記載した図表は下記のサイトからの引用です)(http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/Piketty2014FiguresTablesLinks.pdf)

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【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!

目次

まえがき

Part.1.21枚の図で『21世紀の資本』を読んでみよう!

Part2.結局のところ、ピケティは何を言いたいのか?

Part3.『21世紀の資本』その先の可能性 ー ピケティからの「返答集」

著者 髙橋 洋一
2015年3月発売
発行 あさ出版
160ページ
1,300円+税

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