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【感想・ネタバレ】大数の法則と資産運用~バブルが防止できない理由 ~(冨島 佑允氏の「大数の法則」が分かれば、世の中のすべてがわかる!」より)

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数学的な概念である「大数の法則」が実社会にどう活用されているかをわかりやすく解説した本です。
生命保険制度が成り立つ理由、大数の法則が民主主義を支えていること、さらに資産運用と大数の法則の関係が理解できます。
著者は、現役の外資系生命保険会社の運用担当者です。

大数の法則とは

大数の法則とは、「ひとつひとつは予想が難しい物事も、それらがたくさん寄せ集まると、全体としての振る舞いは安定する」というもの。スイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイによって1713年に証明され、ロシアの数学者パフヌティ・チェビシェフの手でより一般的に拡張された法則です。

大数の法則をいいかえると「経験数が多くなるにつれ、あるべき姿に収束していくという法則」

大数の法則は数学的な概念だが、次のような切り口で見ると、実社会で生きていくための思考の道具としても有用です。

一度にたくさん行う場合(サイコロやコイン投げ、宝くじ、ギャンブル、生命保険など)に当てはまります。また、時間をかけて経験数を積み上げる場合(長期投資など)にも当てはまります。(エルゴート仮説)

大数の法則を社会に活かすための4条件

ただし、大数の法則を社会に活かすには、次の4つの条件がそろっている必要があるそうです。

 ①多くの参加者がいること。(多数)

 ②各参加者が独立して判断、行動していること。(独立性)

 ③特権階級が出てこないルールがあること。(同一性)

 ④大数の法則を活用するための仕組みが整っていること。(仕組み)

②の「独立性」は、社会が「自由」であることで担保されています。
また、③の「同一性」は、社会が「法の下の平等」であることで担保されているようです。

「自由」と「法の下の平等」の2つは「多様性」という言葉に置き換えていいのではと思います。
そうすると「多様性」が、大数の法則の「独立性」と「同一性」を担保していることになります。

「自由」と「法の下の平等」を重視する「民主主義」や「資本主義」がうまく機能することは、「大数の法則」で担保されていると言えそうです。
逆に、大数の法則が機能しない条件(自由がない、特権階級がある、参加者が少ない、仕組が整っていない)では、民主主義や資本主義もうまく機能しないと言えそうです。

資産運用と大数の法則の関係は?

最初に、時間をかけて経験数を積み上げる長期投資も大数の法則が当てはまるといいました。

長期投資について大数の法則が教えてくれるのは、簡単に言ってしまえば「小さなことをこつこつ時間を掛けて積み重ねる人が成功する」ということです。

株式投資や不動産賃貸を長期でコツコツ取り組んでいくことは、大数の法則からすると、成功へ通ずる道の1つのようです。

ただし、注意しなければいけないことはバブルの発生です。著者によると、バブルが防止できないのは、皆が相場で熱狂的になることで「判断の独立性」が担保できいためではないかとのことです。

これから私も「大数の法則」を頭に入れ、バブルに気をつけて、長期投資を続けていきたいと思います。

大数の法則を参考にすると、平均値から乖離した暴落時こそチャンスかな?

補足
この本には、「生命保険」の仕組、お金を増やす「信用創造機能」について大数の法則でわかりやすく説明しています。著者が外資系生命保険会社の運用担当者だけあって、どちらかというとこちらの保険や金融の分野の話がメインかと思います。興味ある方は是非読んでみてください。

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