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本当に高齢者ドライバーは重大事故を起こしやすいのか?

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 先日(4/19の白昼)、東京の東池袋の都道で乗用車が赤信号を無視して暴走し、歩行者を次々とはね、自転車に乗っていた母娘が亡くなり、8人が重軽傷を負うという痛ましい事故がおこりました。車を運転していたのは87歳の男性でした。運転者が高齢ということもあり、メディアやネットでは、高齢者の運転の是非に目が向けられ、高齢者ドライバーに対する風当たりも強くなっているようです。

 そこで、実際に、高齢者(ここでは70歳以上とします)は、本当に事故を起こしやすいのかについて、統計的なデータが無いかどうか調べてみました。
すると、警察庁の交通局が公表している統計データが見つかりました。

死亡事故に限ると、高齢ドライバーの引き起こす事故は多いようだ

 H29年(2017年)の統計データをみると、年齢層別の事故(軽微な事故から重大事故や死亡事故を含めた全ての事故)の発生率[1]については、70歳以上では歳をとるほど高くなっていますが、80歳以上は、16~24歳の事故率より低くなっています。

事故全般の発生率だけみると「高齢者の運転=運転は危険」というイメージは浮かんできません。

 一方、そのなかから

死亡事故の発生率

だけを抜き取ってみると、

75歳以上は、10代よりも死亡事故の発生率が高く、20代~74歳の2倍近い

という結果になっています。
やはり、

高齢者は、重大事故(=死亡事故)を起こしやすい

といえるかもしれません。 この点では、何らかの対策が必要ではないかと思われます。

[1]ここでは、事故発生率を「原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数」とします。「免許保有者数」は、各年12月末現在の値です。 「原付以上運転者」とは、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車の運転者をいいます。 「第1当事者」とは、事故当事者のうち最も過失の重い者をいいます。

統計データを詳しくみてみよう

 以下に図やグラフを引用して統計データを説明してみます。

H29年(2017年)の交通事故死者数は、警察庁が保有する昭和23年以降の統計で最少となっている

 まず現在の交通事故による死者数は過去と比較してどうなのかをみてみます。図1「交通事故死者数の推移」のグラフをみると、平成29年における交通事故死者数は 3,694人(前年比-210人、-5.4%)で、警察庁が保有する昭和23年以降の統計で最少となっています。
 死者数は、平成4年(1992年)以降、減少傾向にあることがわかります。

図1.平成29年における交通死亡事故の特徴等について 
平成30年2月15日(警察庁交通局)
https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

交通事故件数(発生率)はどの年齢層も年々減少している

 図2年齢層別の事故発生率 (原付以上運転者[第1当事者]の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数)のグラフを示します。「原付以上運転者」とは、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車の運転者をいい、「第1当事者」とは事故当事者のうち最も過失の重い者をいいます。つまり、原付・二輪車・自動車を運転して起こした事故のうち、自分の方が過失の割合が高い事故が、その年齢の免許保有者10万人当り何件くらい発生したかということです。
 これみると、交通事故件数(発生率)はどの年齢層も年々減少していることがわかります。

図2.年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数の推移
出典:平成29年中の交通事故の発生状況 平成30年2月15日(警察庁交通局)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/H29zennjiko.pdf


高齢者よりも、若者の方が交通事故の発生率は高い

次に、図2のグラフのH29年(2017年)のデータを取り出して、年齢層別の事故件数(発生率)を棒グラフで表したのが次ぎの図3になります。

 これをみると、16~19歳がダントツに事故件数が高く、その後減少していき、40代、50代でほぼ一定の割合になります。そして60代から徐々に増加し始め、高齢者ほど事故件数(発生率)が増えています。事故件数(発生率)については、65歳以上の全ての年齢層のほうが、 16~24歳の事故件数(発生率)よりに低くなっていることがわかります。

 つまり、この結果からは、若者の事故の発生率の高さが目立ち、「高齢者の運転=危険」という短絡的なイメージは浮かんできません。

図3. 年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数
出典:平成29年中の交通事故の発生状況 平成30年2月15日(警察庁交通局)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/H29zennjiko.pdf

ここまでは軽微な事故から死亡事故までを含めた全ての事故の発生率の話でしたが 、死亡事故だけに限ってみた場合どうなるのでしょうか。

高齢者が起こす「死亡事故」の発生率は高い

  全体の事故の中から、「死亡事故の発生率」だけを抜き取ったグラフを図4に示します。 これをみると75歳以上は、75歳未満の運転者と比較して死亡事故が多く発生していることがわかります。特に85歳以上は10代よりも死亡事故の発生率が高いことがわかります。
 このデータを素直に解釈すると、高齢者は重大事故(=死亡事故)を起こしやすいといえそうです。
 このことから高齢者の死亡事故防止という点では、優先的に何らかの対策が必要ではないかと思われます。

図4.年齢層別の死亡事故件数(免許人口10万人当たり)
出典:平成29年における交通死亡事故の特徴等について 平成30年2月15日(警察庁交通局)
https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

政府でも高齢者の重大事故については問題視し、対策を検討している

 この状況については、政府でも問題視しており、平成29年交通安全白書の中で特集として「高齢者に係る交通事故防止」について対策などが報告されています。詳細は下記のリンク先を参照ください。
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h29kou_haku/gaiyo/features/feature.html

データに基づいた解釈は重要、だが難しい

 「木を見て森を見ず 」という言葉がりますが、人間、何かが起きると、全体をみずに、その部分だけを切り取って自分の中に都合のいいイメージを植えつけて納得してしまう傾向があるような気がします。
 今回の事故でも、自動車が暴走しているのは明らかですし、しかもそのために尊い命が奪われたのは事実です。このような悲惨な事故が起きてしまったことに憤りを覚えずにはいられません。

 ただ一方で、今後のことを考えると、このような感情とは切り離して、この事故を含め、世の中で起こっている高齢者による事故をミクロ・マクロの視点から冷静に分析することも重要です。そして、原因を明らかにしたうえで、社会全体の最適化も考慮し、二度とこのような悲劇が起こらないよう対策を講じていく必要があります。

  今回調べた、事故に関する統計データも自分のイメージや直感が本当に正しいいのかを知るうえで重要なツールだと思いました。ただ、統計に偽りが無くかつ、その解釈を誤らないようにすることが前提ですが・・・

 何事に対してもですが、感情や思い込みを排除して、データに基づいた解釈や行動をするのは、なかなか難しいことです。

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